本物の贋作

とある神社の巨大絵馬に描かれた絵が某マンガにそっくりという件が少し前に話題になりました。たまたま、今日それを見たのですが、似ているとかいう以前に元絵にあった猿のものでは無い人間の「手」がそのまま残っていて、これくらいどうにかしろよという想いが真っ先に浮かびました。ごくごく小さい「手」ですが、そこにそれがあることは不自然きわまりない代物です*1
たまたま先日見たテレビで、外国のとある贋作画家の話題がありました。その人は200枚くらいの贋作画を描いたらしいですが、見つかっているのは80枚だけだとか。残り120枚は今でも「本物」として美術館なり個人のコレクションになっているとのこと。騙す手口として、絵の裏側にある美術館や収集家の貼り付けるシールや付箋を偽造して、あの人がコレクションしていたのなら確かだろうと思わせたのだとか。逮捕、収監されたこの贋作家は出所後、今度は「本物の贋作」として描いた絵を売っていて、高値で売れているそうです*2
贋作は悪いことですが、それであっても色々努力しているのに、このお札をコピーした偽札的な手抜き具合がもう何とも言えない感じです。プロとしての誇りはないのか、と。

*1:もちろん、オリジナルの方は自然なのですが、絵馬の片隅にその「手の一部」だけがあることが、絵馬を見ただけでさっぱり分からないという代物で、単にコピーしてきた明白な証拠になっていて、ここまで杜撰にできるものなんだな、と。まあ、比較画像を見ると、他に2ヶ所にあった手はごまかしていたのですが、1つだけ消し忘れたと。まるでお経を耳に書き忘れた昔話のようです。猿の絵についてはたまたま似ただけと強弁できたとしても、この手があることで一切の言い逃れができない奥の手になってしまってました。

*2:ブランド品を「偽物です」と明示して売っても、日本の法律ではアウトなのですが、「本物の贋作」はどうなのでしょう?