今日の気になる

Apple Music騒動

無料期間中の著作権の分配を行わないとしていて楽曲提供中止騒ぎが起きていたAppleMusicですが、一転して支払に転じて、中止していた楽曲提供についても改めて提供することが決まった、なんて話が流れてきました。

でも、これ一連のAppleによる話題作り(茶番)ですよね。ユーザに無料提供するのはAppleの都合です。だから著作権料も払わないなんてのはいくら殿様Appleとしてもおかしな話でした。後発で後を追いかける立場のAppleが話題作りのために一部アーティストと結託してやったことという気がします。彼らだって、本来なら変な騒動なんて起こしたくないはずです。元々、とあるアーティストは「業界のため」とかいう理由で配信延期を主張していましたし。アーティストは業界のために行動を起こし、結果、Appleを翻意させたという成果を得るし、Appleは最初は拒んだもののアーティストの意見を取り入れて改善をしたという評価を得ることができます。元々の話がおかしいのですが、そこは大スポンサーAppleのことを叩けるわけがありません。八方丸く収まって万々歳というストーリーですね。両者とも話題作りに成り、結果的によいイメージを得ることに成功したわけです。
こういう抜け目のなさはさすがAppleです。

補足
この件を早速ASCII.jpが記事にしています。

どこの世界でも、無料や低価格が推奨されると、若い人材が育たなくなりますからね。(中略)音楽や映像などのコンテンツを無料に見えるかたちで長期間提供することは、個人的には違和感がかなりあります。

それはそれで正しいですが、今回の件とは全く関係ないです。ちょっとずれたコメントですね。

この問題については、アーティストなどの著作権者に対するAppleの一方的で不平等な姿勢が表面化して問題となっていましたが(中略)やはりなんでも無料が当たり前というシステムはそろそろ見直すべき時期に来ていますね。

この部分もおかしいです。

AppleMusicは無料サービスではなく、月額費用を視聴回数などに応じて各権利者に振り分けるシステムなのかと思います*1。で、スタートからしばらくはユーザには無料で提供(お試し)することにしたのですが、その間は権利者にもこの配分を行わないということを言い出したので問題になったのです。別に何でも無料という話ではありません。そういう点でずれたコメントなのです。

もっとも、Appleと各権利者の間の契約がどうなってるのかが気になりますね。一番ありがちなのはサービス利用者からの月額料金を全て集めた金額を、再生回数に応じて各権利者に分配することです。ただ、そうすると、無料期間中は収入がないので配分もできなくなります。そうすると、考えられるのはユーザ数を元に想定される収入を決めてそれを分配するか、実は各権利者とはすでに固定額で月々の利用料が決まっているかのどちらかでしょうか。曲がりなりにも報道を名乗るのであれば、フリーライドはよくないね、といったサービス側が喜びそうなコメント*2を出すだけじゃなくて、そういうところを追求してくださいよ。

*1:そのことは記事冒頭に書いてあるので、筆者も分かっているはずです。でも、持論を展開したくて強引につなげてしまったのですかね。

*2:フリーライドにもの申すならば、せめてユーザが好きなアーティストに月額料金とは別に直接お布施できるようなシステムを提案すべきでしょう。それをAppleがやっていれば画期的だったのですが。