今日の気になる

電子書籍ストアの乱立

昨日、ローソンが電子書籍販売に参入することを表明しました。とりあえず雑誌とコミック以外の書籍でスタートし、8月中旬からはコミックも扱い、今秋までに5万タイトルを目指す予定とか。現状、TSUTAYA GALAPAGOSが2万7千点程度ですから、その倍を目指すというわけです。あるいは、eBookJapanがコミックがメインですが4万8千点とのことなので、その規模を目指すというわけです。

このローソン(HMV)を始め、最近、楽天紀伊國屋などが次々と参入してきています。それ自体はまあよいことなんですが、問題なのは乱立です。規模が取れないところが乱立しても共倒れの危険があるだけ*1で、消費者的にちっともうれしくありません。もしつぶれたり撤退したりすれば、そこで買った本がもう見られなくなります。その辺が紙の本との一番の違いでしょうか。

電力会社の発電と送電の分離じゃないですが、販売の部分と本棚としてのインフラ部分を分離しないと、今後不幸なことがおきそうです。販売がいくら乱立してもいいし、その方が競争が起きてよいかもしれませんが、本としてのインフラを維持する部分*2は販売店と独立していないと、いつまで経っても電子書籍は普及しない可能性が高いです。

昔は電子書籍も「所有」したいと思ってましたが、今は価格さえリーズナブルなら貸本でもよいかな、と思うようになりました。銀英伝ヤン・ウェンリーが空間を必要な時に必要なだけ制圧するという戦略を掲げて、要塞も必要な時に借りればいいと言って部課に突っ込まれたりしますが、本も必要な時に必要なだけ見ればよい*3かな、と。自分の場合、書き込みとかしませんし、物理的な本の場合は貸し借りしてると劣化するわけですが、電子書籍はそんな心配はありません。それに、電子書籍ならやろうと思えば本そのもののデータと書き込みのデータを分離することが可能なので、書き込みだけを保持することも可能でしょう。

こういのは民間ではなかなか立ち上がらないので、それこそ政治の出番であると思うのですが、この国には政治屋がいても政治家はいないので、ちっとも政治の方からこういう提案が出てこないわけです。本当にどうにかならないものでしょうか。まあ、政治に期待できないので民間でとなると、どうしても囲い込みが起きるのですよね。楽天なんか、なんで今更パナソニックと組んで専用端末タイプの電子書籍販売なんて始めたのか*4。そういう意味では、電子書籍化でビジネス上の危機に陥るであろう流通業界が生き残りのためにも上述した様なインフラを整備しないといけないはずなんですが、現状、端末ハード屋や本屋主導のものばかりですね。一番近いのは大日本印刷のhontoでしょうか。

なんにせよ、乱立は止めて欲しいものです。と言うか、現状、なにか欲しいと思ったら、主立ったサイトの検索機能で片っ端から検索する、というなんかバカみたいなことをしないといけないですし。

メディアタブレットのシステムアップデート

asahi.comに記事が出てました。それによると「動きが遅いなどの不具合を改善する必要が生じたため。延期期間は『1カ月内ですませたい』(広報)」とのこと。動きが遅いのは不具合なのか? だいたい、ソフト的にどうにかなるものなのか? とか謎が多い。

*1:特定のマニア向けとかいうならまた別ですが、最近参入してきているところはどこも似た様なものですし。

*2:どこで買っても同じ本は同じ本として扱える識別性、仮に購入した販売店がなくなってもそれを閲覧できる可読性、購入した本を電子的に保持する保存性、どこからでもどんな端末からでも参照できる利便性、等

*3:もっとも、100円からのレンタルを売りにしているところが、実際は500円の無限レンタルとか言ってたりするわけですけど。

*4:楽天紀伊國屋ソニーパナソニック電子書籍販売の相互乗り入れや端末の自由化について合意しているので、そのうち自由にはなるのでしょうが、最初にこうやって立ち上げちゃうと色々制約ができそうなんですけど。