龍馬伝テロ

クライマックスにしたかったらしい龍馬の暗殺シーンで選挙速報のテロップが出たことに対する苦情がたくさん来たのだとか。あの程度でそんなに目くじら立てなくても。民放なんか明らかにCM明けを狙って出してるとしか思えないけど、それに比べれば大したことないじゃん。そもそも、龍馬の暗殺シーン、全然盛り上がらなかったよね? 最終回になって突然出てきた刺客(これより前の回で出てたっけ? 記憶にないんだけど? あきらかに有名人が出てきたから、ああ、こいつらが刺客なんだな、とは思ったけど。)に斬られて終わり、って。まあ、その前に弥太郎との絡みという分けの分からん演出はあったけど。

そもそも、今回の龍馬伝の龍馬暗殺犯人は京都見廻り組の今井信郎らという説(現時点では最も真実に近いとされる通説)を採ったようだけど、彼らの素性についてはキャストに「今井信郎」とあることと、弥太郎との会話で幕府関係であることを匂わせてる辺りだけ。まあ、布石は前回の勝との会話とかで盛り込んだつもりなのかもしれない(同じ最終回の中で、弥太郎の口から薩長土佐藩士からも狙われかねない、と言わせてるし。いっそ、明確な「刺客」は出さない方がよかったのではとも思うけど。)。

スタッフの判断としては、なんとなく幕府の関係者が龍馬を殺した、というのが分かればそれでいい、と思ったのかもしれないけど、個人的には賛成できない。

大河ってのは、その主役となった彼や彼女の一生や半生を描くのはもちろんのことですが、その時代背景とか周りの人物とかも描くもんだと思ってます。そういう意味では、最近の「大河」は主人公の魅力だけで突っ走る(キャストに金がかからないから)傾向が強いかと思います。その最たるものが今回の龍馬伝。「旧知の仲」としている中岡慎太郎が中盤までまったく出てこなかったり、無理矢理絡めた岩崎弥太郎と分けの分からない縁を作ったりはしてますが、とにかく、龍馬龍馬で、龍馬以外の人物なんか「変人」描写でおもしろおかしく見せるだけ。やたらと小汚い格好させたり、わざとらしいパースやアップを多用したり、嫌らしい演出が目に付きました。どうも、篤姫の成功辺りから変な方向に拍車がかかった気がします。ひたすら上杉の内部事情だけを描写する天地人然り。

そんなわけで、テロップの件で苦情書く暇があったら、作品の方向性とかに苦情を入れるべきかと思うのですが、ま、一般視聴者は気にしないのでしょうね。きっと来年の大河もお江や浅井さん姉妹を前面に押し立てたうすっぺらな戦国時代が描かれるのでしょう。それだったら、もう1年やる必要ないんじゃないの。半年とか1クールくらいで有名人ばんばん出してやればいいと思うよ。