1953年の映画は著作権期限切れ

1953年の映画の著作権は50年か70年かで争っていた裁判が、50年という事で決着した。そもそもは、著作権法での期限を欧米並みに70年に拡大しようということで改正したのが今回の話の発端。権利を延ばしたい権利者側はまんまと延長に成功したとほくそ笑んだのだが、問題となったのがその境界。

1953年の映画は改正前には2003年12月31日で著作権が切れるはずだった。法律が施行されるのは2004年1月1日。法改正は遡及しないので2003年12月31日に期限が切れる著作物は改正法は適用されない。

ところが、権利者側は12月31日午後12時は1月1日午前0時であり、1月1日午前0時時点で施行された改正法が適用されるという珍妙な論理で対抗した。

この件は最高裁まで争われ、12月18日の判決において、1953年公開の英語の著作権は2003年12月31日を以て満了したとの判断を示した。

一般的には「12月31日まで」と言われたら「12月31日23時59分まで」と考えるでしょう。実は法律上の1日の定義についてはしっかりと定めたものが無いらしく、明治5年の改暦の際の「太政官布告三百三十七号」くらいしかないらしい。これには午前0時=午後12時とは書いてある。ただし、これはあくまで午前、午後の区分けの話であって、1日の終わりが午後12時=0時0分などということはまったく書いていない*1

ちなみに、午後12時は上の布告に従えば24時制の0時のことである。正午のつもりで「午後12時から」なんて書くと法律的には夜中の事になってしまうので注意*2

まあ、なんにせよ、権利を守るためなら白を黒と認めさせようとした試みは失敗しました。次は違法なものをダウンロードする事が違法かどうかの判断になるでしょうか*3

*1:なぜならば、1日の始まりと終わりを定義する事を目的とした法律ではないため。

*2:まあ、普通の時計はPM12になりますから、そう表記したくなってしまいますけど。

*3:どこかで権利者団体側の人が、法律が変わっても実務は変わらない。違法ダウンロードした人がいきなり訴えられる様になるのではなく、まず警告からはいるはず。だから問題ない。等と珍妙な理屈を述べてる人が居ました。要は運用上今までと変わりないんだからいいじゃないかと。これはもちろん、一個人の見解です。過去のJASRACのやり口を見れば、ある日突然、あなたは違法物をダウンロードしたから訴える。イヤならば料金を払えと言われかねない。そうはならないとしても、現在でもそういう詐欺が存在するが、ますますそれを助長する事となる。一応、知らないでやった場合には罪に問われない事にはなっているが、知っている、知っていないなんてのは誰が判断するのだろう。権利者団体が明らかに分かっていたはずだと言われたら、一般人はそれを裁判で争って覆すなんて事は、生活もあるので普通はできない。各種の冤罪事件を見れば分かるとおり、犯罪者であるという烙印を押されたら普通はそれで今までの生活は終わってしまう。彼らが今言っている事なんてのはまったくアテにならないので、ダウンロード即違法というのは非常に危険である。