花燃ゆ

久しぶりにおもしろかった気がします。久坂の固さと高杉の柔らかさが対照的です。久坂は武士というものにこだわりがあるが故の固さでしょうか。来週は今日から長州藩が追い出される話になりそうです。
とは言え、おもしろいのは高杉であって「花燃ゆ」ではないですね。自分は幕府寄りで長州閥は毛嫌い(一番嫌いなのは薩摩閥)していますが、高杉は面白いです。高杉亡き後の「花燃ゆ」はどうなるのか。正直なところ、楫取素彦だって長州出身でなければこれといったところのない人物ですよね。鳥羽伏見の戦いでは官軍の取りまとめを担ったようですが、その後は群馬県の発展に寄与したくらい?*1
桂小五郎松下村塾とあまり関係がないので、伊藤博文(利助)くらいしか活躍しないでしょう。井上馨松下村塾じゃありませんし。後は品川弥次郎、野村靖が劇中に出てますね。他にも門下生で明治政府の中枢に入った人達は居ますが、青春群像劇と言いつつそこにはあまり触れてませんからね。「花燃ゆ」で松下村塾を知った人は、塾生が10人やそこらと思っているのでは*2
そういえば、山県有朋は出てましたっけ? 最後期の入塾なので塾生であった期間は短いですが、当人は生涯「松陰先生門下生」を名乗ったらしいですけど。
結局、「花燃ゆ」は群像劇というか、ばらばら劇なんですよね。群像劇というのはある一点に収束していくものかと思うのですが、点でばらばら。単にいろんな人が出てくるだけ*3同じ幕末で女性を主人公にした「八重の桜」は兄、山本覚馬という裏主人公が居て話の終盤まで八重を支えたし、八重自体も色々と実際に何かをした人物であるので、それなりに筋がありました。「花燃ゆ」は悪い意味で(あの空想娯楽ファンタジー大河の)「江」にそっくりです。八重の場合は幕末のジャンヌダルクというキャッチフレーズはともかく、会津戦争で実際に戦い、その後は女子教育に尽力したことが分かっているので、先がどうなっていくのか分かります。そこに兄、覚馬という熱い人物が居て、知られざる偉人を世に知らしめたことで、発見もありました。「花燃ゆ」は杉文は特に何かをなしたわけでもありません。悪い意味で目立つ「江」のような個性もありません。話の真ん中に柱がないので、何を描きたいのかさっぱりという作品に見えます。

*1:高崎の住民の恨みを買ったようですが。

*2:実際の所、塾生の詳細な人数は分かってないようです。出入りも激しかったでしょうし。それでも50名くらいは居たと考えられていますが、歴史に名を残した人物でも劇中では誰が誰だか分かりませんからね。さすがに、四天王(久坂玄瑞高杉晋作吉田稔麿入江九一)くらいは出番も多いですけど。後は伊藤利助と野村靖はそこそこ目立つとして、他はもう誰が誰やら。松浦松洞や医者の息子で爆弾つくってた人(小野某?)とかエピソード使い捨てですよね。正直、三秀の内、久坂と吉田稔麿はなにがすごいのかが劇中ではよく分かりませんしね。久坂なんかは人一倍頑固で猪突猛進なだけとしか。

*3:ある場所を舞台にいろんな人が出てくるというスタイルのものも定番ではありますが、この番組の主役は松下村塾ではなくて明確に「杉文」ですから。その割に、話の本筋にいまいち絡まない。塾生との関係性もいまいち希薄。塾生の家族と親しいわけでもない(一部の元々知り合いだった人達は除く)。実は松下村塾の塾生達を裏でまとめあげた女性が居た、みたいな大風呂敷を広げるでもない。