今週の週アス
見るとこなし。
女子高生と音楽の座談会
何の脈絡もなくこんな記事があって違和感を感じます。皆、iPhoneでは音楽を聴かないというのは笑いました。曰く、電池が保たないから。
それ以前に、iTunesをもはや使わずにYouTubeにあるコンテンツをサードパーティのアプリで聴くのが主流なのだとか。特典の付いているCDは買うこともあるけど、「もったいない」から開封しないで、音楽自体はやっぱりYouTubeなんだそうです*1。つまり、彼女らにとっては音楽は、ダウンロードするものではなく、それ以前に買うものですらないみたいです(買うのは特典)。
そんなわけで、そういうところを無視して「売れた数」だけを競って一喜一憂してても、そこは主戦場ではなかったということになりそうです。思わず読み飛ばそうとしましたが、結構おもしろい記事でした。
あっぷるうぉっち
年も明けて(原稿書いているのは昨年末でしょうけど)アップルウォッチのよいしょ記事をちりばめてきました。まあ、今のところアップル製品で「革新的」に見えなくもないのはあれくらいですから。でもまあ、もうちょっと実体が見えてからよいしょした方がよいのでは。
で、なにやらよくある「○○が××な○つの理由」的な記事が出てきたようです。アップルウォッチは以下の7つの理由で成功するそうです。
1.ティム・クック氏初の大イベントである
2.アップルの次への起爆剤になり得る
3.どこでも見かけそう
4.ウェアラブルデバイスの突破口となり得る
5.あなたをリッチにするかも知れない
6.時計業界に火をつける
7.人々の生活を変える
えーと、何かのギャグでしょうか? 根拠が全く不明なのですけど。
- ティム・クック氏初の大イベントである
信者以外にはだから何?というものです。まあ、元の記事はタイトルからして「信者が語る」ですから、これでよいのかもしれません。
要はクック氏独自の最初の大きな製品発表なので、失敗したら大変だという話だそうです。だから、相当力を入れているはずと言いたいのでしょう。
でも、アップルだから成功したのはジョブスまででしょう。ジョブスのプレゼンがなければアップル製品なんてハード的には大したものではありません*2。
- アップルの次への起爆剤になり得る
これも成功したらという前提の話です。それはそう思いますが、成功する理由ではないですよね。逆に言えば、次の成長市場を見つけなければ*3アップルはじり貧です。スマホ市場だけでは勝ち目がないので。
- どこでも見かけそう
マーケティングでセレブが皆身につけるのだそうです。うーん、本当のセレブはこんなおもちゃを身につけないでしょう。iPhone等は身につけるものではないので成功しました。後にもこの話題がありますが、あまり時計業界を舐めるなと思います。
これもウェラブルデバイスは今後本格的に普及するので、その中心はアップルに違いないという希望的観測です。現時点でアップルはアップルウォッチで何ができるかをあまり明確にはしてないように思います。少なくとも、記事中で語られていた夢の機能に、これから登場する製品は対応していないですよね。
また、本当にそんなに普及するのであれば、アップルの開発スピードでは、今買ったら絶対後悔します。と言うか、世の中の動きに付いていけないでしょう。アップルは所詮再発明しかできない会社です。新たなものを生み出したことはないかと思います。
- あなたをリッチにするかも知れない
これはアプリ開発者向けの話で、一般人にはあまり関係ありません。アプリで一儲けできますよ、という話ですから。そんなので儲けられるのはごく一部の人だけです。
- 時計業界に火をつける
要は旧来の時計業界から客を奪うということらしいです。その証拠として、タグホイヤーがスマートウォッチの開発に手を出すとか出さないとか言う発表を挙げています。
昔から書いていますが、時計業界を舐めるな、と。少なくとも、今、時計を買っている層の多くはスマートウォッチには移行しないと思います。法律で義務づけられれば分かりませんけど。NHKのネクストワールドでもスマートウォッチは登場しませんでした。代わりに主人公は腕輪型の携帯端末をしていました(あるいは、網膜上に情報を投影しているようなシーンがありました。あれはどういう仕掛けでしょう。特にめがね型のデバイスは付けていなかったと思います)*4。
おそらく、ウェラブルデバイス、特にアップルウォッチのような時計型のデバイスはすごく中途半端なものとなる可能性があります。ウェラブルどころか埋め込み型のデバイスにすでに時代は移りそうな気配です。そうすると、機械を埋め込むのを嫌がる人以外にはウェラブルデバイスというのは受け入れられず、単なる嗜好品としてなら高級時計の方がよっぽど受け入れられるでしょう。
なお、日本の時計メーカー3社(SEIKO、CITIZEN、カシオ)はスマートウォッチには否定的です*5。だから日本のメーカーは駄目なんだ、という意見もあるかとは思います。でも、少なくともこれらの会社は現時点でスマートウォッチに取って代わられるとは考えていないということです*6。
- 人々の生活を変える
これもウェラブルデバイスの将来性の話で、アップルウォッチが成功する根拠たり得ません。上にも書きましたが、ウェラブルデバイスは進化の中途の一形態であって、あっという間に世の中はそこを通り過ぎる可能性もあります。
と言うわけで、7つの理由というか、7つの妄想です。どれもこうなったらいいなという希望的観測です。
ウェラブルデバイスが必要として、それが時計型である意味も必要性もありません。また、ウェラブルデバイスが扱う情報が増えれば増えるほど、あの小さい画面でそれを見るのは実用的ではなく、スマホやタブレット等が必要になります。結局、ウェラブルデバイスは不要である、と考えます*7。
*1:YouTubeから「動画データ」をダウンロードしてスマホで聴くのでしょうが、通信容量は足りるのでしょうか? ちなみに、この手のソフトはおそらく違法ではないかと思われます。AppStoreで上位にランキングしていたりするようですけど。YouTube動画をストリームで聴く分には合法ですが、キャッシュ以外の場所に保存している時点で違法となるようです。
*2:Retinaとか、今度の製品で採用するとか言う噂の裸眼3Dなんてものは本質的なものでは無くて付加要素です。それを活かせるコンテンツがなければ意味は大してありません。
*3:先月、研修を受けたのですが、その中で成功し続ける企業は同じ土俵にはずっと居ないで、その時々の売れ筋に素早く転換できる、という話がありました。ジョブス黄金時代のアップルがそれです。別の記事でも、アップルは常に自社製品を食うような製品を自分で出して成長してきた、という話がありました。アップルという会社は次々とヒット商品を出していかないと成り立たない企業です。ユーザも株主も批評家もそこを期待しています。
*4:もっとも、網膜投射みたいなのは一部で、他のモブの人達は皆画面を見ていました。画面だけのような代物でしたけど。まあ、あの番組では腕輪型の端末に表示されるのはマスコットの顔だけで、情報は音声で伝えられていました。自分にだけ聞こえるならともかく、周りにも聞こえるパーソナルデバイスってのは冗談みたいに感じます。
*5:カシオはスマホ連携機能については多少は好意的です。すでにそういう製品もあったはずです。
*6:もちろん、裏でこっそりと研究していることは当然あり得ます。特に電子機器メーカーでもあるカシオは。セイコーやCITIZENは単独ではやらないでしょうね。
*7:ウェラブルデバイスの用途を大別すると、インプットとアウトプットに分かれると思います。インプットは各種情報をセンサーで計測して、最終的にはスマホ等の他のデバイスに送る役割です。アウトプットはスマホの情報をウェラブルデバイスに表示する機能です。メールや通話の着信の通知等が該当するでしょう。この他には記事にもあった決済機能というのもありますが、単独の小さなデバイスで決済できてしまうというのはちょっと怖いですね。どちらにしろ、生体認証による決済までの通過点に過ぎないと思います。あとはウェラブルデバイス単独でなんらかの処理ができる仕組みもあるでしょうが、少なくとも時計型デバイスでそれをやる必然性を余り感じません。そんなことでパワーを使うくらいなら、センサーに特化してスマホ側で処理する方が現実的でしょう。あとはスマホ等との中継でしょうか。音楽再生のコントロールとか。ただ、結局は複雑なことをさせようとすればするほど、限界が来ます。アウトプット機能もやはり限界がすぐに来るかと思います。そうすると、インプットに特化した方がよいのではないでしょうか。アップル製品はシンプルなことが売りだったはずなのに、最近はAndroidの猿まねで全然シンプルではないですね。