総理が批判を甘んじて受けるそうです

いや、別に政府案*1の内容がどうこうというのはここでは触れないのですが、総理が「批判は甘んじて受ける」と発言したとのことで、すごく違和感を感じています。

ATOKに付いている明鏡国語辞典で「甘んじる」を調べると以下の様になります。

あまん・じる【甘んじる】?自上一?
与えられたものが不十分であってもそのまま受け入れる。
特に、しかたのないものとして受け入れる。
「現在の境遇に─・じて日夜努力する」「薄給[清貧]に─」
「非難は─・じて受けよう」
(後略)

明鏡国語辞典  (C) Taishukan, 2002-2008

報道によると総理は「(世論の)批判は甘んじて受ける」と答えたそうです。つまりどういうことかというと、総理は世論の批判について、それは妥当ではないと考えているが、敢えてその批判を批判として受け入れよう、と言っているということでしょうか。自分は正しいのだけど、ここは甘んじて批判を受けよう、と。

例えば、秘書が勝手に献金を処理したとして、自分はまったくタッチしていなかったのだけど、もちろん監督責任があるのだから、批判は甘んじて受ける、というのが正しい使い方だと思うのですが。普天間基地移設問題については思いっきり当事者である総理が批判を「甘んじて」受けるってのは、すごく違和感があります。言葉の軽い総理のことだから、そこまで考えて発言しているのではないかもしれませんが。

この一連の発言の中で、また「日米関係が何より大事」とか口走ってしまったそうで。そんなこと言ったら、沖縄県民から「自分たちの生活のことより日米関係が大事なのか!」とまた反発をくらいますよ。もちろん、そういう意味で言ったつもりはないのでしょうが、そう受け取る人が出てきます。言葉の受け取り方なんて、受け取る人の思うがままなんですから*2

さらに、政府案は現行案(つまり前政権の時代の日米合意の案のこと)とは違う、環境に配慮するとか口走ったとか。これは屁理屈とか言い訳と普通は呼ばれます。現行案に戻ってしまったのだけど、最大限環境には配慮します、と言うべきだったのでは。これはもう甘んじてだかなんだか知りませんが、批判を受け入れた態度ではないでしょう。批判を受け入れるというのであれば、余計なことを言わない方がよいと思うのですが。また口先ばかり*3と叩かれますよ。

まあ、こんなことは自分より年上で、立派な政治家であり、政権与党の代表である方に一介の庶民が言うことでもないですけど。

*1:総理案?あれもいまいち位置付けがよく分からない。少なくとも社民党国民新党が反対しているのだから内閣案ではないし、では防衛省や外務省の案かといえばそうでもなさそう。内閣府案? 総理だけが思っている案? 一体、なんなんだか分からないという不思議な案。誰が賛成しているのかもよく分からない。民主党内からも批判が出てるんだから。

*2:そもそもの大前提として、結局総理、ないしは政府として、アメリカ側とどのような協議をしたのかがまったく伝わってこないので、ぎりぎりの交渉とやらがどういうものだったのか分からないのですよね。だから、叩かれるわけで。

*3:まあ、総理からは、できもしないことは言わないこと、余計な言い訳はしないこと、その場しのぎで相手に受けのよさそうなことを言わないこと、という教訓を頂きましたので、今後プロジェクトマネージャの立場としての戒めとさせて頂きます。