RNAV航法本格導入前倒し

朝日新聞1面の隅に載っていました。従来、地上にある無線基地局からの電波を基準として飛んでいた民間航空機がGPSを元にして飛べるようになると言うものです。

この件で良く言われるのが、従来は地上の無線基地局に沿う形でジグザグに飛ぶのがまっすぐ飛べるようになる、と言うものなんですが、これはちょっと違うんじゃないかな、と思います。まあ、実際詳しくはないのでよく分からない部分もありますけど。

本題の前の蛇足として、良く言われているのが決められた航空路しか飛べないという件ですが、実際にはパイロットの申請と管制官の許可があれば、地上無線基地局をショートカットすることも可能です。例えば、A基地局を経由してB基地局に向かっているときに、その空域が空いていればA基地局を経由しないで直接B基地局の方に向かうことも可能です。大雑把に言うと、十字路を右に曲がって目的地に向かう際に、十字路の手前で脇道に入ってショートカットすることが可能なわけです。

で、本題。RNAVが使えると行っても、地上無線基地局によらない航空路が新たに設定できると言うだけで、別に好き勝手に飛べるわけではありません。記事を見ると、何やら飛行機が勝手に目的地までまっすぐ行けるような印象を受けますが、そんなことはなくて、目的地までまっすぐの航空路が設定できるようになり、それができれば実際に飛行機がまっすぐ行けるようになる、という話です。

朝日の記事には「運賃への影響は未定」とありますが、未定というか、運賃をこれによって安くするなんて話が出るわけがありません。記事中の所要時間2時間が2分になるという所要時間が飛行時間なのか地上時間も含むのか分かりませんが、東京-大阪間がブロックタイムが1時間程度、それが1分縮まったからって運賃が安くなるわけがないじゃないですか。

最後にまったく関係ない話ですが、記事中の図で羽田から釧路に向かう飛行機が大きく三陸側にはみ出して釧路に向かう図になっていますが、そんな経路で飛びましたっけ?*1 だいたい、海上にある無線基地って、三陸沖に地上無線基地局(VOR/DME)があるのか。通常は下北半島から苫小牧方面に向かってから、東に転進するかと思います。あんな、宮古から太平洋に飛び出すコースは無いんじゃないですかね、と思ったんですが、ANA公式サイトのCaptaionからのRoute information、東京→釧路では、都から太平洋に出て三陸沖を釧路までまっすぐ、と書いてありますね。まあ、釧路までまっすぐと書いてあるので、あの図はかなり誇張されているように思います。というか、あの図が記事に合わせて縦長になっているせいという気がしてきました。

*1:もしものことがあったときのために、国内線の旅客機は陸から大きく離れるような航路は通常取らないかと思います。