学者の専門馬鹿?

テレビでオカルトさんが聖徳太子が太平洋戦争を予言していた、と話していたことについて、大槻教授が以下の様に自分のブログで書いている。のだが、ちょっとね。

例えば、太平洋戦争。
『東が南を侵略。』とあるのは、東は東洋だから日本を意味する、南は南アジアを意味する。だからこの聖徳太子の予言は日本が南アジアを侵略した太平洋戦争の予言なのだ、と。
実にばかばかしいこじつけ。日本が侵略したのはむしろ、朝鮮・満州ではないか。つまり北である!

教授、教授。こんなこと書くと、フィリピンやインドネシア等の東南アジアの方々に怒られますよ*1。普段、声高に日本の侵略戦争と騒ぐのは確かに朝鮮や満州を含む中国の方々ですが、そもそも石油等の資源が欲しくて東南アジア*2を侵略したのが戦争の目的のひとつなんですから。戦争の疵痕と言えば南北分断された朝鮮ばかりが取り上げられますが、フィリピンでも米軍協力者と日本軍協力者との間に深い溝を刻んでいたりしますし。戦争は日中、日米だけじゃないんですけど。

日本などを『ファーイースト』と呼ぶのは、ヨーロッパから見て東にあるからだ。聖徳太子がなぜ日本を『東』と呼ぶ必要があったのか。

「日出る処の天子」云々の国書は聖徳太子の時代の物であり*3、日本を指して東(NOT EQUAL 東洋)と称しても不思議ではない様な。当時は太平洋の向こうに陸地があることなど思いも寄らなかったろう。もちろん、だからって聖徳太子が太平洋戦争を予言していた、等と言う気はありませんが*4

大槻教授は物理が専門で歴史関係には疎いのかもしれませんが、相手をやり込めるには、ちゃんと相手の言ってることを調べないと。

*1:まあ、元のオカルトさんは「南アジア」と言っているので、それはそれで間違いなんですけど。そこをつつくのならば問題ないのですが。

*2:当時の意識としては大東亜=東アジアですが、これは今の東アジア+東南アジアを含めた概念でしょうか。

*3:と言うか、聖徳太子らが書いたものとの説もある。

*4:細かいことを言えば、太平洋戦争と言うのは、アメリカの考え方で、日本として「太平洋戦争」なる呼称が当時使われた記録はないようです。戦後、GHQによる規制で「大東亜戦争」が使えなくなり、「太平洋戦争」に言い換えられたという経緯があります。